家族信託編
こんにちは。FPおじさんです。(^^♪
前回につづき、「家族信託」について解説していきます。信託法をベースにしているため法律用語が出てきますが、なるべく平易な言葉を使い少しずつ解説して行きますので、最後までご愛読いただければ幸いに存じます。
今回は、家族信託の便利な機能をご紹介します。便利な機能は大きく3つありますが、今回は「資産の権利を分ける機能」と「資産を継ぐ機能」を解説していきます。「資産をまとめる機能」は、次回、解説したいと思います。
- 資産の権利を分ける機能
- 資産を継ぐ機能
- 資産をまとめる機能
〈資産の権利を分ける機能〉
民法では、資産の所有者は法令の制限内において自由にその所有物の使用、収益および処分する権利を有するとしています。一方、信託法では、信託契約により所有権が受託者に移転しますが、信託財産からの利益を得る権利(受益権)は、受益者が有しています。
すなわち、信託活用の最大のメリットは、財産の所有者が通常有する「財産の管理・処分権」と「使用・収益権」を信託により完全に分離させることができることであると言えます。
〈資産を継ぐ機能〉
信託契約に定めた事由または信託法の信託終了事由に該当することにより、信託は終了します。信託が終了し清算した後、残余信託財産は、信託契約に指定された帰属権利者等へ引き継がれます。
したがって、信託は遺言と同様に委託者が亡くなったときの資産承継機能を有しています。決定している後継者へ確実に承継したい資産(賃貸不動産や自社株など)について信託を活用すると非常に便利です。
なお、信託財産は、信託開始とともに所有権が受託者へ移転するため、委託者が亡くなったときには、委託者の財産ではないため遺産分割協議の対象とはなりません。ちなみに、信託契約に指定された帰属権利者等は、その権利を放棄することができます。
また、所有権と分離させた受益者が持つ受益権を信託の仕組みを使って承継することができるのも信託のメリットです。委託者の死亡により受益権を取得する旨の定めのある「遺言代用信託」や、受益者の死亡によりその受益者の受益権が消滅し、他の人が新たな受益権を取得する旨の定めのある「受益者連続型信託」を活用することにより受益権を次の世代へと世代を超えて引き継ぐことができます。
以上、次回も「家族信託」の仕組み、活用法、税務などをブログ講義して行きます。相続対策は、早ければ早いほど効果を発揮しますので、先ずは基礎的な知識をつけていただければ幸いに存じます。
出典:家族信託を活用するための基本と応用(大阪・奈良税理士共同組合著)