家族信託編
こんにちは。FPおじさんです。(^^♪
前回につづき、「家族信託」について解説していきます。信託法をベースにしているため法律用語が出てきますが、なるべく平易な言葉を使い少しずつ解説して行きますので、最後までご愛読いただければ幸いに存じます。
今回も、家族信託の便利な機能をご紹介します。便利な機能は大きく3つありますが、今回は「資産をまとめる機能」を解説したいと思います。
- 資産の権利を分ける機能
- 資産を継ぐ機能
- 資産をまとめる機能
〈資産をまとめる機能〉
不動産の持分を共有で所有されている方がおられると思いますが、資産を共有しているときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができません。
将来、もし共有者のどちらかが判断能力を著しく低下させると、この不動産の処分ができなくなります。共有物の管理は持分の価格に従い過半数で決めるため、どちらかの判断能力の低下により意思行使できなくなると過半数の決定ができなくなります。
不動産の持分が共有の場合、家族信託のまとめる機能を活用して「受託者」へ管理・処分する権利を集中させます。例えば、委託者と受益者は共有者の両親そのままで、受託者を子が担います。
この場合、共有者の両親が亡くなるまでの間、家族信託は継続して受託者である子が不動産の管理・処分を行います。両親のいずれかが亡くなると亡くなった方の受益権は消滅して、受託者である子が受益権を引き継ぐこともできます。
また、創業後の年数が経過している会社では、多数の親族が少数株主になっているケースが散見されます。少数株主に相続が発生するとその株式は子たちへ相続され、さらに株主が増えてしまいます。
親族である少数株主は、議決権を行使して積極的に経営に関与するよりも配当金の受領への期待が大きいと思われます。そのため、少数株主を委託者として受託者へ株式を委託することで株式を受託者へまとめます。
そうすることで受託者が議決権を行使し会社の経営を安定させ、親族である少数株主へ配当を給付する仕組みが構築でき、少数株主の増加を防ぐことができます。
以上、次回も「家族信託」の仕組み、活用法、税務などをブログ講義して行きます。相続対策は、早ければ早いほど効果を発揮しますので、先ずは基礎的な知識をつけていただければ幸いに存じます。
出典:家族信託を活用するための基本と応用(大阪・奈良税理士共同組合著)